交通事故鑑定人になるには その1

最近、交通事故鑑定人を志す人は少なからずいるようだ。

テレビの影響 であろうが、その責任の一端 は他の誰でもない私にある。

再現ドラマなどで、シャーロックみたく鑑定人が事件を解決するシーンが放送された。

出演したのは、私であり、脚本や構成、演出にも関わっている。

鑑定人シリーズは好評を頂き、私を題材にした7本もの再現ドラマが作られた。

しかし、この番組構成は、会議室で練られたもので、実態と多少異なる。

こう言っては身も蓋もないが、テレビに出ている鑑定人はある意味虚像だ。

例えば、鑑定人が事故資料を見て、瞬時に気づく点などがある。

こういった点は、視聴者に判りやすくするため、その過程の再現に尺を割く。

視聴者自身が交通事故に潜む謎を解いていくような追体験を得やすくする演出だ。

謎解きに興じているときは、少々CMを挟もうとチャンネルは変えられない。

他方、鑑定にまつわる泥臭い作業の部分は視聴者を退屈させてしまうので省かれる。

つまり、テレビの中の鑑定人は、業務の部分部分を切り取ったもので、大筋での嘘ではない。

しかし、最も大切な部分が地味で泥臭い作業にまつわるものであることは事実だ。

その鑑定の中核をなす肝心な部分を省いたので、虚像と言われても仕方なろう。

さて、私は、「どうやったら鑑定人になれるのか・・・・」 と、良く聞かれる。

なりたければ、自身で名乗りさえすればその瞬間から鑑定人だ。

何ら難しいことはないが、鑑定人として生計が維持できるか否かは別問題。

「どうしたら食える鑑定人になれるか」 とも良く聞かれる。

これは、大変難しい問題であり、答えようがない。

個々で、出自も能力も差があるので、これ! と答えようがないのだ。

しかし、どんな先端のシステムであろうとその隙間をかいくぐって必ず事故は起きる。

これは、交通事故鑑定に携わってきた全ての鑑定人等が共通して持つ認識だ。

事故が起きれば、争いが生じ、鑑定人は今後も必要とされていくだろう。

現在、交通を取り巻く環境は大きく変化していくが、必要なものは次世代の鑑定だ。

本ブログでは、「交通事故鑑定人になるには」 というカテゴリーを追加する。

このカテゴリーの中で次世代を模索していこうと思う。

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